疑似動詞は語根の形で使える動詞的なものです。動詞と一緒に使った場合のフォーカスが何だかややこしかったので整理してみました。
ポイント
- 疑似動詞の行為者はng
- 例外1: 形容詞として使う場合
- 例外2: may/mayroon/walaの後
疑似動詞 + 動詞 のときの行為者
疑似動詞は目的フォーカスの動詞のように使い、行為者はng形です。
また、疑似動詞の中には形容詞的に使えるものもあります。
以下は2つの疑似動詞(gusto、kailangan)と2つの動詞(kainin、kumain)の組み合わせで、行為者がng形かang形かを示したものです。
kainin(目的フォーカス ) | kumain(行為者フォーカス) | |
- | kainin ko ang tinapay. | kumain ako. |
gusto(疑似動詞) | gusto kong kainin ang tinapay. | gusto kong kumain. |
kailangan(疑似動詞) kailangan(形容詞) | kailangan kong kainin ang tinapay. | kailangan kong kumain. kailangan akong kumain. |
疑似動詞 → 行為者はng形
kainin(目的フォーカス)については、元の動詞kaininの行為者も、疑似動詞の行為者も全部ko(ng形)です。
一方、kumain(行為者フォーカス)の場合、元の動詞kumainの行為者はako(ang形)なのに、疑似動詞がつくとko(ng形)になります。
最初これが何か変な感じがするのですが、koは動詞kumainでなくて疑似動詞gustoの方についてると考えればいいかと思います。
- gusto ko + NA + kumain → gusto kong kumain.
(NAはリンカーです。通常koの後のリンカーはngですが、説明のためにNAに変えています)
形容詞 → 行為者は元の動詞のフォーカスのまま(angの場合はang)
またkailanganの場合、koでなくakoでもいいです。これはkailanganを形容詞的に使っていると考えることができます。
- 疑似動詞: kailangan ko NA kumain. → kailangan kong kumain.
- 形容詞: kailangan NA kumain ako. → kailangan akong kumain.
このkailanganの形容詞的使い方についてはmarunongと同じ(→ 形容詞が前から修飾する文)と考えると分かりやすいでしょう。
- marunong akong kumain.
- kailangan akong kumain.
追記: kailanganがやや特殊?
参考
- Learning Tagalog – Psudo-verbs
- Ayaw, gusto, kaya, kailangan + basic form
- Kailangan, dapat, pwede + verb/noun/etc.
以下の空白に入るのはAの場合は gusto / ayaw / kaya / kailangan、Bの場合はdapat / puwede / kailanganで、kailanganだけやや特殊なのかも?
(A)____ kumain ni Anna.
(B)____ kumain si Anna.
Aの例
- 〇 Gustong kumain ni Anna.
- ×
Gustong kumain si Anna.
Bの例
- ×
Puwedeng kumain ni Anna. - 〇Puwedeng kumain si Anna.
- (〇Puwedeng kainin ni Anna ang tinapay. 目的フォーカス動詞の場合はNGも可)
Kailanganの場合はA、B両方いけるっぽい
- 〇Kailangang kumain ni Anna.
- 〇Kailangang kumain si Anna.
よく使われるのはNG形の方らしい、今おなかが減ってるので食べる必要がという場合はNG形。ANG形はもっと深刻な、食べないと死ぬ感じの状況?
以下のようにも書けます
- Kailangang kumain ni Anna.
- =Kailangan ni Anna na(Annang) kumain.
- Kailangang kumain si Anna.
- =Si Anna ay kailangan kumain.
参考 tagalog.com forum – Usage of kailangan (NG or ANG ?)
疑似動詞の種類
主な疑似動詞
教科書に”疑似動詞の使い方”的な解説のある、よく使うタガログ語の疑似動詞は以下です。
ayaw, gusto(=ibig, nais), kaya, puwede(=maaari), kailangan, dapat
この中で puwede、kailangan、dapatは形容詞的に使えると思います。他は不明。
参考
- Learning Tagalog – Pseudo-verbs Overview
語根で使える動詞
語根で使える動詞的なもの、広義の疑似動詞。Tagalog.comの辞書で品詞名に[pseudo-verb]と書いてます(書いてないものも。違いは不明)。
mahal、kilala、alam、suot、dala、sabi、akala
以下の語根はtagalog.com辞書でpseudo-verb表記があります。
taglay
以下の動詞も疑似動詞的か動詞を省略してか、語根で使われることがあると思います。
pansin
参考
- Learning Tagalog – Roots Used as Verbs
行為者フォーカス動詞の語根利用
行為者フォーカスの動詞も省略して語根で使うことがありますが、それはまた違う用法かも。
- kumain ka → kain ka
- pumunta ka → punta ka
may + 疑似動詞
疑似動詞なのに行為者がng形にならない他の例として、mayがあります。
疑似動詞の前にmayが来ると、行為者はng形でなく、mayの行為者のang形になります。
- may gusto akong sasabihin. 言いたいことがある
mayroonやwalaの場合も同様です。
- mayroon/wala akong gustong sasabihin.
kailangan or kailangang ?
kailanganにリンカーがつくとkailangangになります。前接語の人称代名詞が入った文だと、人称代名詞にリンカーがとられてしまい、あまりgで終わるkailangangは見ないのですが、行為者が人名のときなどにたまに見ます。
形容詞用法
- kailangang kumain si Anna.
疑似動詞用法
- kailangang kumain ni Anna.
- kailangan ni Anna(ng) kumain. (この場合はリンカーは人名につく、または省略)
参考 Learning Tagalog – Ayaw, Gusto, Kaya, Kailangan + Basic Form
以上、昔何かややこしいな~、なんでkailanganはko/ako 両方いけるんだ~とモヤモヤしてたやつが、最近ようやく謎が解けた気がして記事にしてみました。とか言って、コツをつかんだ気になって勘違いをしている可能性も。何か気づいたら随時修正します。
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