フィリピン株をフィリピンの現地証券会社から取引する時の、取引手数料と税金について調べてみた。
・手数料自由化がされておらず、オンライン証券会社で手数料は横並び
・フィリピンへの税金支払いは源泉徴収
・日本居住者は確定申告が必要
ポイント要約
取引手数料は売買代金に対して買い約0.3%、売り約0.9%
買いと売りで手数料が異なり、売買代金に対して、手数料(+税金合計)は買いは0.295%、売りは0.895%となっている。日本に比べるとけっこう高め。特に売りはStock Transaction Tax(=Sales Tax 株式取引税/売却税)という税金が0.6%かかるためお高め。
手数料自由化がされておらず、オンライン証券会社で手数料は横並び
フィリピンでは証券会社がとる手数料(Commission)の下限が売買代金の0.25%と決まっており、調べてみた限り有名どころの現地オンライン証券会社は、どこもこの0.25%で横並びになっていた。その他の費用、税金は固定のため、トータルの手数料も横並びとなっている。
フィリピンへの税金支払いは源泉徴収
税金は証券会社で源泉徴収されるので、フィリピンの税務署に何かしら申告、支払いする必要はない。
日本居住者は確定申告が必要
日本居住者は譲渡税、配当については日本の税務署に確定申告が必要。フィリピンで源泉徴収された後の利益に対し、約20%の税金の支払いになる。
取引手数料は売買代金に対して買い約0.3%、売り約0.9%
フィリピン株を現地証券会社から取引する時の手数料(+税金などかかる費用合計)は以下になる。%は売買代金に対するパーセント。
買いの場合
②PSE fee - 0.005%
③SCCP fee -0.01%
合計 0.295%
Commissionは証券会社へ払う手数料で、売買代金の0.25%となっている。CommissionにはVAT(Value Added Tax 付加価値税)の12%が加算される。VATは日本で言うところの消費税。VAT込みのCommissionは0.28%になる。
その他のPSE feeとSCCP feeは微々たるもので、合計すると手数料は0.295%となる。なお、PSEは Philippine Stock Exchangeの略でフィリピン証券取引所のこと。SCCPはSecurities Clearing Corporation of Philippinesの略で、株券を管理、処理する機関のことらしい。
補足:率で計算した手数料が20ペソ未満の場合は20ペソとなる。なお、Commissionは法律で0.25%~1.5%の間と決められており、オンライン証券会社では下限の0.25%で横並びとなっている(後述)。また、0.25%は100万ペソ(約200万円)以下の売買代金についての手数料で、それ以上の場合はもう少し安めの手数料になる。
例:JFC 200ペソ×50株 買い
例えば、ジョリビー株(JFC)を株価200ペソで50株買った場合、売買代金は200ペソ×50株で10000ペソとなる。手数料を計算すると以下のようになる。
Commission: 10000×0.25% = 25ペソ (VAT=25×12%=3ペソ、VAT込みで28ペソ)
PSE fee: 10000×0.005%= 0.5ペソ
SCCP fee: 10000×0.001%=1ペソ
手数料合計: 29.5ペソ
売りの場合
②PSE fee - 0.005%
③SCCP fee -0.01%
④Stock Transaction Tax(Sales Tax) -0.6%
合計 0.895%
Stock Transaction Tax
Sales of equities listed and traded on the Exchange are subject to a stock transaction tax of 3/5 of 1% (60 basis points) of the value of transaction charged to the seller, in lieu of the capital gains tax. The sale, barter or exchange of shares of stock listed and traded at the PSE are exempt from documentary stamp tax.
例:JFC 200ペソ×50株 売り
買いと同じように、売りの手数料計算してみる。買いの場合と異なるのが太字部分。買いの時は29.5ペソなので、売りの場合は株式取引税でかなり手数料が高いのがわかる。
Commission: 10000×0.25% = 25ペソ (VAT=25×12%=3ペソ、VAT込みで28ペソ)
PSE fee: 10000×0.005%= 0.5ペソ
SCCP fee: 10000×0.001%=1ペソ
Stock Transacton Tax(Sales Tax): 10000×0.6%=60ペソ
手数料合計: 89.5ペソ
手数料自由化がされておらず、オンライン証券会社で手数料は横並び
有名どころのオンライン証券会社の手数料をいくつか調べてみたが、Commissionは0.25%で横並びだった(その他のPSE fee、SCCP fee、Stock Transaction Taxは固定なので変えられない)。
COL Financial 私が口座を開いたCOL。Commision 0.25%
BDO BDO証券もComission 0.25%。いつの間にかNomuraが撤退して、NomuraがつかないBDOになってた。
First Metro Commission 0.25%。Broker Assisted Ordersという電話?で注文するときは0.75%と少しお高めになる。売るときの税金はSales Transaction Taxと表記されてる。
BPI Trade Commission 0.25%
AB Capital Commission 0.25%。日本語のフィリピン株情報をぐぐると、最近はみんなこのAB証券というので口座を開いているらしい。仲介業者もあるし、英語ができれば個人でも日本から口座開設可能らしい→参考 Zumi Life-ABキャピタル証券の口座開設
PSE公式の手数料解説
*Broker’s commission varies depending on value of transaction, with a maximum allowable commission rate of 1.5% (please refer to Table 2 below)
フィリピンへの税金支払いは源泉徴収
日本居住者は確定申告が必要
フィリピンでの税金の手続きは不要(自動的に源泉徴収で取られてる)だが、
日本居住者は日本の税務署に利益の確定申告が必要(年間利益が合計20万円を超えた場合)。フィリピンで税金で差し引かれた後の利益に対して、日本で約20%の税金がかかる。
フィリピンでSales Transaction Taxおよび配当は源泉徴収されているので、日本で税金を払うと二重課税になるが、払うのが原則ぽい。外国税控除を利用することもできる。
参考
- 1日5分、10万円から始めるフィリピン株式投資(書籍、amazonへのリンク)→税金について
- 外国株式の配当を受け取った場合の申告
- 大和証券-外国上場株式:株式の税金
- マネックス証券-源泉徴収なしの特定口座、または一般口座で米国株取引を行った場合
- ZAI 米国株配当の外国税額控除
まとめ
以上、フィリピン株の取引手数料と税金について調べてみた。以前 COL Financial に口座開設したのだが、数日前まで取引ゼロだった。
COL Financialで証券口座開設(TIN取得で手こずった)
“フィリピンの税務署に何か申告しないといけないと面倒くさいな~” というモヤモヤとした不安があったのだが、今回調べて、その必要はない、フィリピンの税務署に自分で別途申告する必要はない(証券会社でフィリピンに払う税金分は源泉徴収される)とわかり、安心して取引ができそうだ。
取引手数料については、買い0.3%、売り0.9%と、日本に比べるとけっこうお高め。短期売買で利益を出すのはやや難易度が高いと思う。
それはともかく、そろそろフィリピンに帰りたいです・・・
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